Salvation~世を治め民を救う~

読書感想文を主に書いています。政治・経済やメンタルなど健康に関するもの、小説などを取り上げることが多いです。

日本は経済成長しない&財源は税金しかないという思い込み

本日はこちらの記事。

 

gendai.ismedia.jp

 

慶応義塾大学経済学部教授の井手栄策氏のインタビュー記事です。

 

「自己責任論」を批判している点は良かったのですが、「先進国はもう経済成長できない」「消費税に逆進性はない」などとでたらめを言ってしまっているのがうーんと思ってしまいました。言論活動をしている慶応義塾大学の経済学部の教授はどうもおかしなことを言う人が多い印象です。

 

経済成長していないのはグローバリズムのせいである

おかしいと思った1点目がこちら。

 

「低成長は先進国の宿命です。設備が海外に移転し、少子化で生産年齢人口は減り、労働生産性も下がっている。(後略)」

 

「低成長は先進国の宿命です。」と述べているのですがこれは大きな間違いです。宿命でもなんでもなくグローバリズムを推進してきた結果にすぎません。ちょうど最近グローバリズムが格差拡大を招く理由について書いたのですが、企業が利益をあげるためには生産性向上のための投資を行うか、人件費を削減するという方法があります。どちらを選択するかで経済成長率は大きく変わってきます。

 

daigaku-keisei.hatenablog.com

 

日本では高度経済成長期は投資を行い、97年のデフレ以降はグローバリズムと非正規雇用の拡大によって人件費削減による利益拡大を行ってきました。そのため、グローバリズムを是正することが出来れば経済成長する余地はまだまだあります。

 

アメリカのトランプ大統領アメリカに雇用を取り戻すといった政策を打ち出して当選した大統領ですし、イギリスのEU離脱反グローバリズムの動きの象徴といえるでしょう。

 

消費税に逆進性はある

次に消費税の逆進性について。

 

「貧しい人の負担が大きくなる逆進性を指摘する人がいますが、現実は反対で、贅沢なものをより多く買っている富裕層の方が、消費税の負担額は大きい。そしてこの財源を使って、すべての納税者のサービスを無償化する。考えて下さい。年収1000万円の人が100万円のサービス給付を受けても10%の受益ですが、年収200万円の人は50%の受益です。」

 

消費税に逆進性はないと主張する人にありがちなのが税金の負担を金額で見てしまうことです。そりゃもちろんお金を使う人ほど税金を払う金額は大きくなるでしょう。小学生でも分かるようなことです。

 

しかし、現実問題として年収200万円の人はそのほとんどを消費に回してしまいます。一方で年収1000万円の人はすべてを消費に回すことなどせず、貯蓄するなり投資するなりするでしょう。そうすると年収200万円の人のほうが消費税の負担率は大きくなります。そのため低所得者層ほど消費税の負担率は大きくなってしまうため消費税には逆進性が存在します

 

しかも日本は民間消費がGDPの6割を占めており、ここに10%などの消費税がかかってしまうと経済は一気に落ち込んでしまいます。税収を増やしたいはずが、景気が悪くなってあまり増えませんでした、むしろ減ってしまいましたなんてことになりかねません。

 

そういった観点からも消費税を財源とするのは現実に即していない理想論ではないかと思います。

 

財源を税金に絞るからおかしなことになる

そしてそもそも大学無償化、保育無償化など公共サービスの拡充をしようと思った際に財源をどうやって調達しようか、どの税金をあげようかなどと考えてしまっている時点でおかしいと思います。

 

財源は新規国債発行でかまいません。増税する必要もないですし、ほかの予算を削る必要もありません。

 

自国通貨建ての国債を発行している国が財政破綻しないこと、先進国である日本がハイパーインフレにならないことは財務省がHPに明記しています。

 

まとめ

自己責任論に対して否定的な見解を示しているのは良かったんですが、先進国は経済成長しないという幻想に囚われてしまい、政府支出は税金を財源としないといけないという貨幣のプール論(貨幣が一定量しか存在しないと思い込んでいる)に囚われてしまい、解決策がかえって国民を苦しめ自己責任論を助長する恐れすらある結論になってしまっているように感じました。

 

財源は税金しかない!という考えから抜け出せることを祈ります。