グローバリズムが格差拡大を招く理由
本日は青木泰樹著『経済学者はなぜ嘘をつくのか』からグローバリズムが格差拡大を招いてしまう理由について述べていこうと思います。
グローバリズムが格差拡大を招く理由
グローバリズムが格差拡大を招く理由は、人件費抑制につながってしまうからです。
例えば1時間で5個生産できるモノがあり、そこにかかる費用が5000円だったとします。グローバリズム以前は日本国内で生産するしかありませんので、企業は人材投資、設備投資、技術投資などさまざまな投資によって、費用を変動させずに1時間あたりの生産個数を増やすことで1時間で5個しか生産できなかったものを10個生産できるように出来たとします。
そうすれば、企業は生産性が向上し利益が増え、労働分配率が変わらない限りは従業員の給与も増えていくことになります。
しかし、グローバリズムによって人件費が安い他国に生産拠点を移すことによって利益を拡大しようとする考えが広まっていってしまいました。そのため従業員の人件費削減をいかにして行い利益を拡大するかが企業にとっての目的となり、従業員である労働者の給与は増えず、格差が拡大していってしまうようになりました。
株主第一主義とグローバリズム
こういったグローバリズムの背景には、企業が株主第一主義になってしまったこともあげられます。株主にとってはいかに利益をあげ配当金が増えるかが重要な点です。
経営者から見れば従業員を大切にしつつ利益を上げていくことが目的となるべきですが、株主にとっては従業員の労働環境など興味がないのでしょう。
そして四半期ごとに利益が上がっているかを報告する必要がありますから、企業としては必然的に長期的な観点にたっての投資よりも、短期的に利益をあげるために人件費の抑制へと動くようになってしまいます。
非正規雇用が増えているのも人件費抑制に繋がるからといえるでしょう。
株主第一主義とグローバリズムの見直しを
企業に短期的な利益を求めるように促している株主第一主義とそれを促進できるグローバリズムは経世済民が目的である政府が見直す必要があるでしょう。
有事に真っ先に切られてしまう非正規雇用の増大は社会を不安定化させてしまっていますし、投資による生産性向上がほとんど起きていないため実質賃金はどんどんと下がってしまい労働集約型の社会となってしまっています。
さらに他国に生産拠点を移転する、特に中国に生産拠点を置いている企業は安全保障の観点からみてもリスクがあるといえるでしょう。
グローバリズムによって世界統一政府を目指す国際金融資本家から物凄い反対を受けると思いますが、このままでは日本は発展途上国と化してしまいます。世界的にみても反グローバリズムの動きは拡大しつつあります。日本もその流れに乗ってほしいと思います。
日本でも反グローバリズムの動きが拡大することを祈ります。