Salvation~世を治め民を救う~

読書感想文を主に書いています。政治・経済やメンタルなど健康に関するもの、小説などを取り上げることが多いです。

MMTを知らない人のMMT批判

本日はこちらの記事。

 

toyokeizai.net

 

よくあるMMT批判があったので紹介します。

 

出口 治明(以下、出口)MMTは不出来なケインジアンの再来だ。MMTのいちばんの疑問は「政府がいくらでもお金を刷れるなら、なぜ税金を全廃すると主張しないか」という点だ。そこがロジカルに考えるといちばんの矛盾だ。本当にいくらでもお金を刷れるなら、MMT派は税金全廃を主張してほしい。 (太字は筆者)

 

MMTが成立するなら無税国家が成り立つではないか!という主張。

 

MMTはあくまで税金を財源とする必要はないと主張しているだけで「税金は必要ない」とは主張していません。なぜか?それは税金には財源のほかに重要な役割があると考えているからです。

 

その最たるものとして「租税が貨幣を動かす」という考えがあります。

 

私たちがただの紙切れ(貨幣)に価値を見出し、経済活動を行っているのは、貨幣によって政府に対する租税の義務を果たすことが出来るからです。つまり、税金として使える貨幣であるから私たちは日本円を使っているわけです。

 

つまり、無税国家にしてしまうと貨幣の裏付け(税金の支払いに使える)がなくなってしまいます。

 

その他にも所得税などの累進課税によって景気が良くなれば所得が増え税率が上がり景気を抑制。景気が悪くなれば所得が減り税率が下がって景気を下支えする、という効果もあります。(ビルトインスタビライザー)

 

さらには炭素税やたばこ税など特定の行動を抑制するための罰金としての効果もあります。(消費税は消費することに対する罰金)

 

財源としてだけでなく、さまざまな目的で税金は使われています。

 

MMTに関する本を1冊でも読んでいれば、当たり前のように書かれていることです。これを知らずにMMTを批判しているとしたら少し恐怖を感じます。

 

大学の学長を務めるような人がまさかMMTの本を読んでいないというようなことはないと思いますので、きっと私には到底理解できないような枠組みでMMTを批判しているのだと思います。。。

 

さらに国家と家計を同一視するというありがちなミスもしています。

 

出口 個人も国も本質は一緒だ。いつか返さなければならない借金があれば、それだけでしんどい。僕は、国の多額の借金を否定するいちばんの論拠は、民主主義の正統性にあると思う。民主主義とは何かといえば、それは市民が税金を払い、自分たちの払った税金をどう使うかを決めることだ。

 

そりゃ個人は借金したらお金を返さなければなりませんが、貨幣を発行できる政府がお金を返す必要があるのか。政府がお金を返すということは私たちのお金が減るということまで理解してこの発言をしているのでしょうか。

 

ただ最後の方には共感できることも言っていました。。

 

出口マイナンバーはマストだ。権丈さんの話を聴いてわかったのは、やはり政府は大事にせなあかんということだ。結局、コロナ禍のようなときに再分配できるのは政府しかない。われわれは選挙などを通じてしっかりした政府を作らなければならない。連合王国の経済学者ニコラス・バー(ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス教授)の名言にあるが、年金と一緒で、将来の再分配政策をいいものにするためには、「よい政府を作ることが決定的に大切」だ。 

 

個人ではどうしようもない問題は多々あります。それを解決してくれるのは政府しかありません。生活が豊かになり、心に余裕をもって生きていける社会か生活が貧乏になっていき、心に余裕がなくなり罵り合いが絶えない社会となるかは政府次第です。

 

前者を目指すためには、財源がどうこう、財政赤字がどうこう言っている場合ではないです。

 

国家と家計を分けて考えられることを祈ります。