「女性が働かなければならない社会」と「家事・育児に参加できない男性」
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在宅勤務・在宅ワークが推進されていますが、それによって子育てとの両立が難しくなっているという記事です。日本は97年にデフレに陥って以降、「女性が働かなくてはいけない社会」となり「男性は育児に参加したくてもできなくなってしまっている」ように思います。詳しくみていこうと思います。
日本人は働き過ぎている
大前提として日本人は世界と比べても働き過ぎています。
15~64歳男性の平均労働時間を、休日も含めた1日あたりの時間で算出すると、2014年のデータで、日本はOECD諸国の中でトップの375分となり、全体平均の259分に比べ2時間近く長い結果となっています。
日本人男性は働き過ぎているがために育児に参加できないといえるのではないでしょうか。日本人男性がだらしない、甘えているわけではなくて、これまで女性が担うものであった育児や家事に急に参加するだけでもハードルは高いうえに、参加する時間と余裕も与えられていません。
女性の負担は男性よりも重い
男性が頑張って働いているといっても、家事・育児を含めると女性の方が労働時間が長くなります。日本人男性は仕事と家事を合わせて437分。日本人女性は477分。1日で40分の差があり、1年で換算すると240時間ほど男性よりも女性の方が働いている計算になります。
政府は「女性の社会進出」を謳っていますが、日本人女性は男性に比べ、圧倒的に家事での労働時間が多いです。その上にさらに働かせるという恐ろしい政策を推進しているとも見えるのではないでしょうか。
平時はそれでも保育園などのさまざまなサービスを利用することでなんとか育児と仕事を両立できたのでしょうが、コロナ禍のような非常時になると余裕のない生活の継続は不可能になりつつあるのでしょう。
デフレを放置してきたツケが回ってきている
男性が育児に参加できず、女性が働かなければならない一番の理由はデフレを放置してきたことにあるのではないでしょうか。
日本は20年間GDPがほぼ横ばいとなっています。GDPとは財やサービスの生産の合計の数値であるため、1人当たりの生産量が増えれば、GDPも増えていきます。GDPが横ばいということは生産量が増えていないということになります。
企業はデフレになるとモノやサービスが売れなくなるため、生産性向上のための投資に消極的になります。そのため一人当たりの生産量は増えにくくなります。さらに価格を下げることで売れやすくしようとします。結果、今までと同じ量売れたとしても売り上げは下がってしまいます。その分は人件費の削減、つまり給与の抑制という形で従業員にツケが回ってきます。
さらに日本では少子高齢化が進み、生産年齢人口が減っています。一人当たりの生産量が同じ状態でGDPを増やそうとすれば、まだ労働市場に参加していない人を呼んでくる必要が出てきます。そのため女性や高齢者など今までなら「働く必要のなかった人」が労働を強いられるようになります(もちろん楽しく働いている人もいると思いますが)。
しかし、その分女性が担っていた家事や育児といった「家庭内での仕事」はどうするのかという問題が出てきます。日本人の一般的な家庭として男性は働き、女性は家事、育児という意識が強いため、そして男性が育児に参加するだけの余裕と時間がないため、女性が出来る限りの家事、育児を行うことで対応しているのが現状と思います。
デフレ脱却が解決策になるだろうか
デフレ脱却し、実質賃金が上昇していくようになれば、女性が働きに出なくても男性一人で家計を支えれるようになると思いますし、企業としても余裕が出てくれば男性でも積極的に育児・家事に参加できるような会社の制度や空気が出てくるように思います。
日本人男性は育児・家事に参加しないから駄目だ!育休取得率が低いことが問題だ!といった短絡的な議論で終わるのではなく、もう少し社会全体を見渡した時に長期のデフレという日本の異常事態と絡めて議論されることがあってもいいのではないかと思います。
当事者の方は今すぐ解決できる対処法を求めていると思いますが、原因を解決しない限りはいつまでも同じ問題が続くと思います。
余談
大学生の時に「ジェンダー論」という授業で、日本人男性の働き過ぎや家事・育児に参加してなさすぎ、女性の方が働きすぎ、といった問題に初めて触れました。その時は解決策が分かりませんでしたが、3年近くたった今ではデフレ脱却が一つ解決策となるのではないかと思えるようになりました。
デフレ脱却出来ることを祈ります。