安倍政権は放漫財政なのか?
本日はこちらの記事。
安倍政権の経済政策を批判している記事です。しかし、財政出動を訴えながらも放漫財政と批判しているというダブルスタンダードな記事。順番に見ていこうと思います。
日本経済は欧米に比べてマシなのか?
記事の最初の方は真っ当な批判をしているように思いました。
しかし、前期比の4~6月期の実質GDPの減少率だけに着目して、日本経済が受けたダメージが欧米諸国より軽微だったというのは、議論として不適切ではないだろうか。
そもそも、日本は欧米諸国よりマイナス成長が長引いているうえ、そのマイナス成長に陥る前から群を抜く低成長に喘いできたからだ。
全く持ってその通りと思います。欧米に比べるとGDPの下落幅は小さいのですが、そもそも日本は消費税増税の影響によって2019年の10~12月期にGDPが大きく下落しています。それでも景気は緩やかに回復しているという理解しがたい答弁を安倍首相、麻生大臣がしていました。
おそらく政権内では消費税増税による日本経済の落ち込みはなかったことになっており、コロナによって日本経済が落ち込んでしまった。しかし、経済対策が的確だったので、GDPの下落は欧米に比べると小さいという認識でいるのでしょう。(そう認識することで自分たちの行いが正しいと思い込んでいる)
もともとプラスだったものがマイナスに落ち込むのと(欧米)、もともとマイナスだったものがさらにマイナスになる(日本)のとでは後者の方が数字が小さく出るに決まっています。さらに日本は欧米のようにロックダウンをせずに、あくまで自粛という国民にお願いする形で感染症対策を進めてきました。そのため、欧米よりも経済に対する影響力は小さくなるのもある意味当然ではないでしょうか。
数字を良く見せて、支持率を上げたい政権の気持ちは分かりますが、そんなしょうもないことをしていないできちんと現実をみて感染症対策、経済対策をしてほしいなと思います。
今必要なのは財政出動
さまざまな統計を見ても経済が落ち込んでいるのは明らかです。第一次、第二次補正予算ではまだまだその金額が足りていなかったために経済が落ち込んでしまいました。そのため、政府には第三次補正予算を組んで、より大規模な財政出動が求められます。
景気の悪い時こそ、財政の出番なのに、いったい何をやっていたのか。安倍政権の新型コロナ・ショック対応策の巧拙を論じるならば、こういうところにこそ実態が現れているとみるべきだろう。
記事内でも財政出動の必要性が求められています。
安倍政権は放漫財政なのか?
しかし、筆者は政府が財政出動を行えない理由をこのように述べています。
加えて、実態を伴う財政再建に踏み込まず、歴代内閣と同様に、長年にわたって放漫財政を是正できなかったことのツケも大きい。それゆえ、財政がひっ迫しており、補償を条件に営業を停止させることができない状況に陥っているのだ。
安倍政権は放漫財政だといっているのですが、実際の数字を見てみましょう。
グラフの縦棒が政府支出の増加の割合となっています。日本は欧米の中でも断トツに政府支出が少ないです。2001年と比べていますから安倍政権は「歴代内閣と同様に、長年にわたって(放漫財政とは真逆の)緊縮財政を是正できなかった」わけです。
そして横軸はGDPを表していますから、政府支出が2001年に比べて増加した国ほど、GDPが増え、国民が豊かになっているといえるでしょう。
筆者は安倍政権下でのGDPの低成長率も批判していましたが、正しくは「政府支出が足りず、緊縮財政を行い続けたためGDPが伸びていない」となります。
まとめ
野党が「安倍政権は放漫財政だ~」と批判するのは聞いたことがあり、何を言っているんだと思いましたが、経済ジャーナリストを名乗る方もおかしな批判をしてしまっていることに驚きました。財務省のご説明を受けてしまったのでしょうか…。それともテレビの見すぎなのでしょうか…。
安倍政権は緊縮財政を行ってきたという認識が広まることを祈ります。