企業が財政再建を求めるおかしさ
本日はこちらのニュース。
ポスト安倍政権に望む政策としては「財政再建」が3分の1を占め、最も多かった。新型コロナウイルス対策で膨張した財政への懸念が大きくなっている。
248社が回答したロイターの企業調査によると「財政再建」を望む企業が3分の1を占めるとのこと。回答した企業の規模や産業が分からないのですが、なぜ自ら利益を減らしてしまう政策を求めてしまうのか疑問です。
財政再建を簡単に言うと国民から税金として所得を奪い、国債償還という名の貨幣を消滅させる行為です。貨幣というのは誰かが借りることで生まれるものですから、返済すればなくなります。
所得が減った国民は消費を減らすことは目に見えています。消費が減れば企業は利益を減少するわけですから、企業にとって財政再建は何としても阻止するべきことであると思います。
一方で、財政再建をしてもらった方が得する企業もあります。財政再建を行えば必然的に政府がカバーすることのできない公的なサービスが出てきますから上手くそこに進出することが出来れば、基本的に需要のある分野ですのでぼろ儲け出来るのではないでしょうか。ただ国民としてはサービスの質が下がったり、価格のつり上げが起きたりするのであまり望ましくありません。
財政を問題視している企業の具体的な意見はこちら。
企業の間でも財政に対する危機感は強く、「議員の給料等を減らしてでも、国の赤字を減らすべき」(非鉄金属)、「コロナで疲弊した国の財政と経済の回復に期待したい」(機械)との声が出ている。
完全に財務省に染まり切ってしまっているなぁという印象です。議員の給料を減らして財政赤字を減らしたところで事態は好転しません。企業にとって返済不可能なくらい赤字の拡大は避けるべきことでしょうが、通貨発行権のある国家にとっては財政赤字はなんら問題ありません。特にデフレ下の日本では。
企業の経営者といえども「誰かの赤字は誰かの黒字」といった感覚は薄いんでしょうか。国家の赤字が削減されるということは反対側で国民の黒字が削減されてしまうという考えには至らないからこその財政再建を求める声だとは思いますが。
財政再建を是とする考えが根強いのがよくわかります。この状況では積極財政(財政赤字拡大)によって日本経済を立て直します!なんていう政治家がいても支持されないということになってしまいます。政治家にも財政再建至上主義の方はいますが、それを支持してしまっているのが国民な分けですから、やはり国民のレベルが政治家に反映されるのだなと思います。
財政再建は日本経済を冷え込ませるという認識が広まることを祈ります。