財政悪化は悪くない!
本日はこちらのニュース。
新型コロナウイルス対策による巨額の支出を受け、国の財政悪化が際立ってきた。「100年に1度」の危機への対応で、積極的な財政出動に異論は少ないが、政府の財政への危機感欠如も指摘される。日本国債の格付け見通しを下げる動きも顕在化しており、新型コロナ収束後の財政健全化へのハードルは一段と高くなっている。
毎度おなじみの財政健全化を至上主義とする論説です。
太字にしたところを読むだけでも「何を言っているんだ…。」と呆れてしまいますが、
今一度この考え方の間違いについて述べようと思います。
国民経済の大原則
このブログでも何度も申しておりますが、「誰かの赤字は誰かの黒字」です。
コインの裏は表であるのと同じです。
AさんがBさんに1万円を渡したとすれば、Aさんにとって「1万円の赤字」となりBさんにとって「1万円の黒字」となります。
この積み重なりが経済となっています。
財政健全化は国民赤字化
上記の原則を頭に入れたうえで、「財政健全化とは何か?」「財政悪化とは何か?」を考えていきましょう。
財政健全化とは、政府が黒字になること。
財政悪化とは、政府の赤字が拡大すること。
となります。
財政健全化の際に政府が黒字となるならば、代わりに赤字となるところが必要となります。
その可能性があるのは、企業、海外、家計この3つになります。
このグラフは企業の資金過不足、つまり企業に資金が余っているかどうか、黒字かどうかを表しています。
98年以降、企業は赤字を拡大することをやめました。
その理由は、日本がデフレに陥ったためです。
デフレ時には人々は消費を減らし、貯蓄に回すため、物やサービスが売れません。
そのため、企業も赤字を拡大して生産性向上のための投資を控え、資金を溜め込むようになります。
コロナ以前から企業は黒字を増やしていましたから、現在需要が落ちている中で赤字を拡大するとは思えません。
次に海外の赤字ですが、コロナの影響によって輸出も輸入もままならない状況ですし、コロナが収まってすぐに輸出が急激に増えるとは思えません。
したがって、海外に赤字を期待することもできません。
最後に家計が残りました。
政府は消費税増税に代表されるように財政健全化を国民からお金を徴収することで、国民の黒字を縮小する形で達成しようとしています。
今後おそらく「財政再建のために増税が必要」と言い出す人が確実に出てきます。
財政健全化とは我々の黒字を縮小することと同義なのです。
財政悪化が求められている政府
「財政悪化」は政府の赤字拡大です。
それによって誰の黒字が拡大するのか?
現金給付であれば、家計の黒字が拡大しますし、持続化給付金であれば企業の黒字が増えます。
輸出入が減っている今では、海外にお金が出ていくということは考えにくいでしょう。
GDPが著しく減っている日本では、政府が財政悪化させ(支出を増やして)GDPが減らないようにすることが最低限求められています。
「財政悪化」を問題視している場合でもないですし、「財政健全化」を目指すなんてもってのほかです。
こういった論説に騙されて、政府が財政支出すること、私たち国民が豊かになることを国民自ら拒んでしまうという悲しいことが起きないようにしなければなりません。
まとめ
「財政悪化」「財政健全化」という言葉が良くないですよね。
「財政悪化」と聞いたら何か悪いことが起きているように感じてしまいますし、「財政健全化」と聞けば、何か良いことが起きているように感じます。
こういった言葉の使い方も今後は変えていく必要があるように思います。
特に国民に多大な影響力を及ぼすマスメディアの方にはしっかりと勉強していただいて、少なくともデマを垂れ流すのはやめて欲しいです。
「財政悪化」が国民を救うという認識が広まりますことを祈ります。