デフレを分かりやすく説明してみた②
今日も昨日に引き続いてデフレについて話していこうと思います。
デフレとは供給過多である
昨日の説明では、デフレは物価が下がり、貨幣の価値が上がることだと説明しました。
今日はもう一つのデフレの捉え方について説明します。
経済は需要と供給で成り立っています。
(そんなこと分かってるわ、という方も多いかもしれません(笑))
最近話題のマスクを取り上げてみると、
多くの人がマスクを必要としていますので、マスクの需要は上がります。
しかし、マスクの供給能力が追い付かず(中国の生産拠点が停止)、マスクの価格ははねあがりました。
つまり、需要が供給よりも大きくなると、物価は上がります。
逆に需要が供給を下回っていると、物価は下がります。
(物が売れなくなると価格を下げて売るよう
にするため。)
では、デフレはどちらの状況にあるのか?
デフレは物価が下がることですので、需要よりも供給が多いということです。
つまり、物を作っても買う人がいないとい
う状況です。
そしてここで注意したいのは物を買わなくなった理由です。
多くの人は物が欲しくなくなったのではな
く、物を買える所得を稼げなくなったんです。
それはなぜか?
デフレによって所得が下がってしまったた
めです。
デフレは供給能力を破壊する
デフレが続くとどうなるか?
企業を取り上げて考えてみると、どれだけ物を作っても売れないとなると、工場を閉鎖したり、人員を減らしたりするようになります。
すると今まで100個作っていたものが90個、80個とどんどん減っていきます。
今まで企業が設備投資や人材投資をして作りあげてきた供給能力が失われてしまう、破壊されてしまうんです。
一度失った供給能力をもとに戻すのは簡単ではありません。
企業が工場を閉鎖してしまえば、人材を解雇してしまったら、倒産してしまったら、すぐに再開は無理でしょう。
コロナウイルスによる外出自粛によってまさしく需要が減り、多くのお店、企業が供給能力を破壊されています。
日本はデフレを放置してきました。
つまり供給能力の破壊が20年間にわたって起きていたということです。
企業は儲からなくなり、国民の所得は低下し続けました。
そのため、20年間国民は貧困化してきました。
(http://mtdata.jp/data_68.html#RI19より)
デフレ脱却のためには
デフレとは需要が足りないことです。
本来の企業の供給能力に対して需要が足りていない分をデフレギャップといいます。
(http://mtdata.jp/data_68.html#RI19より)
つまり需要を生み出すことが出来れば、デフレギャップを埋めることが出来れば、デフレ脱却し、経済成長に繋がります。
では、その埋める方法とは何なのでしょうか?
デフレの中で個人はお金が減っていくので消費額も少なく、消費をしようとも思いません。
(上図の民間最終消費支出に当たる部分)
また、企業も、物が売れないのに投資をしたりするとは思えません。
(上図の民間企業設備。投資は需要拡大に繋がります。)
そして海外に目を向けることもできますが、このコロナの中、需要拡大とは真逆の方向に走っているので期待できない。
(上図の純輸出)
となると残るは国家だけです。
国家は財政的な予算制約はありませんから、デフレの時にはどんどんお金を刷って配ることが出来ます。
(これを財政出動といいます。)
国家が個人にお金を配って、消費を喚起する。
そうすれば、企業は物が売れるため、投資をしようという気になります。
そしてそこに対しても政府はお金を配ることができます。
(上図の政府最終消費支出)
他にも公共事業を積極的に行い、仕事をつくる。
(上図の公的資本形成)
公務員をたくさん雇って雇用を創出する。
(上図の政府最終消費支出)
このようにやり方はいくらでもあります。
日本は長年デフレを放置しており、どんどんと貧困化していっています。
それを止めることが出来るのは政府だけです。
この事実を多くの国民が共有して、多くの国民が政府に財政出動を訴えかけることを祈ります。