Salvation~世を治め民を救う~

読書感想文を主に書いています。政治・経済やメンタルなど健康に関するもの、小説などを取り上げることが多いです。

少子化政策を推進してきた政府

本日はこちらのニュース。

 

this.kiji.is

 

政府は31日、2020年版少子化社会対策白書を閣議決定した。出生数は減少傾向が続き、19年の出生数が90万人を初めて割り込み約86万5千人となった現状を「86万ショック」と呼ぶべき状況だと改めて危機感を表現した。 

 

少子化が進んでますよーとのことで「86万ショック」なんて言ってますが、そもそも政府は少子化政策を着々と進めていたわけで何をそんなに騒いでいるのかと思います。

 

少子化については以前にも書いています。その時は「男性の年収が下がったことによって結婚できない人が増えているんじゃないの」という風に結論付けました。

 

daigaku-keisei.hatenablog.com

 

今回はそこを深堀するとともに他の側面からも少子化について考えていこうと思います。

 

実質賃金の低下とその原因

男性に限らず日本人全体の年収は確実に下がっています。具体的には97年がピークとなっています。

 

 

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日本の実質賃金の推移(2015年=100)(http://mtdata.jp/data_68.html#RI19より)


1991年から2019年までの実質賃金の推移です。実質賃金は下落の一途を辿っています。こんな国は日本だけです。日本は異常状態にあるわけですが、国民の多くはこの異常状態に気づかない、もしくはこの現状を必死に受け入れようとしています。

 

なぜこのように実質賃金が下落し続けるような状況になってしまったのか、要因はいくつかあります。一つは派遣労働を解禁し、非正規労働者を増やしたこと。さらには消費税を増税したことがあげられると思います。

 

非正規労働者を増やしたことにより、企業は人件費を安く抑えることが出来るようになりました。正社員に比べて非正規雇用は有事の際に首を切りやすく、給料を上げる必要もないため、企業にとって使い勝手が良く、企業の利益は拡大しました。

 

しかし、非正規労働者は収入が少なく、いつ首を切られるかもわからないために、結婚相手としては敬遠されるようになります。現在の日本では非正規雇用の方が4割ほどいます。年収が低ければ消費に回す額も減るので、経済はデフレへと傾いていきます。それによって正社員の方の年収も下がっていくという最悪のスパイラルに陥っています。(企業の利益は配当金という形で株主に渡り、格差は拡大しているので良いことなしです…。)

 

さらに消費税増税によって経済は冷え込み、ますます国民は貧困化していきました。消費税がいかに悪徳な税なのかについては過去にも書いています。

 

daigaku-keisei.hatenablog.com

 

 

東京一極集中化と少子化

政府は緊縮財政に基づき、地方交付税交付金を減らし、人口が減っているような地方は基本的に見捨てています。そして都市圏に人を集めることで企業はビジネスをしやすくなります。しかし、東京都は日本で一番出生率の低い都道府県です。

 

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都道府県別合計特殊出生率(人)(http://mtdata.jp/data_67.html#syussyourituより)

 

 出生率のベスト10とワースト10をまとめたグラフです。東京が断トツで出生率が低く、神奈川、千葉、埼玉といった都心部出生率は低くなっています。

 

一方で、出生率の高い地域は比較的都市からは遠いような地域が多くなっています。

 

つまり東京一極集中化というのは、出生率の高い地方から出生率の低い都心部へと人を集めることとなります。そうなれば出生数が減少するというのも当たり前の話ではないでしょうか。

 

やはり対応がずれている政府

政府の対応がいつまでたってもずれているなと思う点が記事内にありました。

 

配偶者が出産した直後の男性の休暇取得状況に関し、昨年6月に調査した結果を掲載。18年に、末子の出生後2カ月以内に半日か1日以上の休みを取ったのは58.7%だった。

 

育児休暇に関する調査を載せているのですが、これは「結婚後」の少子化対策となっています。今、日本は「結婚が出来ない若者」が増えているわけで、いくら「結婚後」の政策について議論したところで効果は薄いと思います。

 

東京での出生率を高めたいのかもしれませんが、そもそも東京一極集中化には防災面でのリスクなどもあるわけですから、これ以上推し進めてはいけません。東京から地方へと人を分散させることが少子化対策につながり、防災対策にもなるわけです。

 

子育てしやすい環境づくりはもちろん必要です。しかし、その対策は交通事故によって骨折をした患者に対して、擦り傷に良質なばんそうこうを貼ろうとしているようなもので、そんなことよりも先に骨折(実質賃金の低下、東京一極集中化)を対処しなさいよと思うわけです。

 

まとめ

緊縮財政によって国がお金を出せないというような状況では東京一極集中化は進み、格差は拡大し、多くの日本人が貧困化していくでしょう。国債の発行について「将来世代にツケを残すのか!」と批判する政治家もいますが、そんなことを言っていたら、彼ら彼女らがいうツケを残される将来世代が生まれてこなくなってしまいます。まぁ、そうなればツケを残さずに済むのかもしれませんが、日本国がなくなってしまいますからね。財政政策をきちんと行えばいいだけの話ですから、頑張ってほしいと思います。

 

正しい少子化対策によって出生数が回復することを祈ります。