Salvation~世を治め民を救う~

読書感想文を主に書いています。政治・経済やメンタルなど健康に関するもの、小説などを取り上げることが多いです。

「種苗法改正案」が国民の食料安全保障を脅かす

種苗法改正案、あなたは賛成ですか?反対ですか?

 

今日は種苗法改正案が見送られたことについて話していこうと思います。
www.agrinews.co.jp

種苗法改正案の今国会での成立が見送られる見通しとなった。十分な審議時間が確保できないことが理由だ。優良品種の海外流出防止策は急務だが、登録品種の自家増殖に許諾制を導入することには危惧もある。次期国会での審議に向けて、農家の権利保護と食料主権の観点から広範な論議と検証を求める。

 

柴咲コウさんがTwitter種苗法改正案に反対している趣旨のツイートをしたりと何かと話題になっている(いた)種苗法改正案。

果たしてそれが良かったのか、悪かったのか見ていきます。

 

種苗法改正案」は農家の権利、利益を守る?

種苗法改正案が見送られたことに対してがっかりしたという農業従事者の方が結構見受けられるんですよね。

農学専攻がわかりやすく種苗法改正案を解説する|みっちー|note

ただ、本改正案が見送りになったことは正直がっかりです

種苗法の改正について|林ぶどう研究所|note

色々な考え方はあると思いますが、結論から申しますと、私は今回の種苗法の改正は必要であると考えています

 

経済学者の上念司さんも種苗法改正案に賛成の立場でした。

youtu.be

種苗法改正で日本の農業が滅ぶとか思っている人。そんなことないです。というか、その滅ぶって話はTPPの時と全く同じですよ。同じ手で騙されちゃダメ!今回の種苗法改正で、むしろ中小の育成家の皆さんは投資に見合った報酬を受け取れることになります。現場の声をご紹介します。

 

まとめると種苗法改正案によって登録品種の自家増殖の禁止とすることで、登録品種の新品種を開発している人たちにお金が回るようになりますよ、ということです。

なので日本農家のためにも「種苗法改正」しよう、という動きになるんですね。

 

最初は「種子法廃止」と同じ流れで「種苗法改正」も日本農家の利益を海外企業に売り渡し、日本国民の食料安全保障を脅かすものとおもっていたんですが、どうやらそんな単純なものでもないのかなと思えてきました。

 

種苗法改正案」は売国政策の一環

www.jacom.or.jp

 

こちらを見たら納得しました。

種苗法改正案」は間違いなく日本農家の利益を海外に売り渡し、日本国民の食料安全保障を脅かすものです。

 

日本で何が行われているのか?行われてきたのか?

 

問題は、農水省の担当部局とは別の次元で、一連の「種子法廃止→農業競争力強化支援法(8条4項)→種苗法改定」を活用して、「公共の種をやめてもらい→それをもらい→その権利を強化してもらう」という流れで、種を独占し、それを買わないと生産・消費ができないようにしようとするグローバル種子企業が南米などで展開してきたのと同じ思惑が、「企業→米国政権→日本政権」への指令の形で「上の声」となっている懸念である。

 

種苗法改正案」単体で見ると確かに日本農家にメリットがあるように見えます。

しかし、「種子法廃止」からの一連の流れを見ると、グローバル種子企業への売り渡しになっているというのです。

そしてこの流れは実際に中南米やインドで行われてきたことと酷似しているとのことです。

 

種子法の廃止及び「8条4項」は、種の開発・権利者が国・県でなく企業に移行していくことを強く促している(注)のだから、早晩、想定通り、主要穀物の種子開発が国・県からグローバル種子企業に取って代われば、高い種を買わざるを得なくなり、事態は一変してしまう可能性がある(農研機構はすでに企業による浸食が進んでいる)。

 

政府は種子法廃止によって民間へと種子開発の権限の移行を推進しています。

ですので短期的には日本農家の利益となるかもしれませんが、長期的にみたときに日本農家はグローバル種子企業から高い値段の種子を買わないといけなくなり、日本農家は衰退していってしまいます。

 

日本の食料安全保障は…。

大きな流れをまとめてくださっています。

 

(1)種子法廃止(公共の種はやめてもらう)、
(2)種の譲渡(これまで開発した種は企業がもらう)、
(3)種の自家採種の禁止(企業の種を買わないと生産できないように)、
(4)遺伝子組み換えでない(non-GM)表示の実質禁止(2023年4月1日から)、
(5)全農の株式会社化(non-GM穀物の分別輸入は目障りだから買収)、
(6)除草剤の輸入穀物残留基準値の大幅緩和(日本人の命の基準は米国の使用量で決める)、
(7)ゲノム編集の完全な野放し(勝手にやって表示も必要なし、2019年10月1日から)、

 

この7段階で推進されているとのことです。

今は(3)にあたるところですね。今回はなんとか阻止できた形になります。

しかし、これだけ用意周到に順序だてて、国民の食料安全保障を脅している国家、政府は何を考えているのか…。

 

ここにも緊縮財政の想いが透けて見えます。

国家としてお金を出したくないから、種子の保護もせず、海外企業、民間に売り渡す。

日本農家が苦しもうが、国民の食料安全保障が脅かされようが国がお金を使わなくなるならそれでOK。ということですね。

 

まとめ

私は「種苗法改正案」に反対です。

国民の安全は国家が守るべきであり、民間に任せるべきではありません。

新品種の開発に多大な労力と費用がかかるのであれば、国家が支援してやればいいだけの話ではないでしょうか。

それを国民同士に負担を強いるというのもおかしな話に思えます。

政府は緊縮財政を推進するという一点において一貫性があります。

国民の安全よりも、お金を使わないことが大切と考えるのが今の政府です。

これが現実です。

 

日本の食料安全保障が守られることを祈ります。